EPISODE 6 --- グラスについて Part 2 (00/3/15)
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今回のBuyersEYEでは、前回の予告通りグラスシリーズPart2「グラスのデザイン」についてです。

 皆さんは、どんなグラスでワインを楽しんでおられますか?別にワインじゃなくてもいいんです。ビールでもコニャックでもバーボンでも・・・。
要は、その飲みモノにあったデザイン=形の容器で味わうとその飲みモノを最高の状態で楽しむことができるということなのです。

 これから書いていくことは、主に私が過去数回参加して、そのたびにびっくりするほど感動した、かの有名なワイングラスの王様「RIEDELリーデル」のワインテイスティングならぬグラステイスティングで学んだことが中心となります。
そんなの知ってるわい、私も参加したことがあるわ、と言う方は、今回はパス!もありです。

 でも、なぜあえて、このグラステイスティングを取り上げるかというと私たちWACのようにワインアクセサリーを生業としているものにとり、グラスはもっとも販売が難しく、正直いって儲からず、クレームも多いにも関わらず、コルク抜きやワインラックを押しのけて、本当に多種あるワインアクセサリーの中でも、最重要のアクセサリーというか、必須の、それこそ「ワインのベストフレンド」だからなのです。


リーデル家9代目当主ニックネーム「プロフェッサー」と呼ばれるClaus J Riedelクラウスヨゼフリーデル(実は、ハーレーダヴィッドソンを愛車にするお洒落な趣味人でもあります。)が、考え出したグラスデザインに関する究極理論とは、極めてシンプルな考えに基づいています。

「形(デザイン)は、機能に従わなければならない」の一言で言い表せるのです。

対比するのにわかりやすい例をあげて説明していきましょう。
 まず大きなボウル部分をもったグラスは、ボルドー地区のグランヴァンなどに代表されるように豊かな香り(アロマやブーケ)を楽しめるタイプのワインのために存在します。
反対に、フレッシュでさわやかな冷やして飲むタイプのワインには、その大きさが災いしてせっかく適温に冷やしても常温の空気に触れる面積が広いためすぐに温まってしまいます。
そのまた逆に、とてもいい状態のグランヴァンを、300cc前後かそれ以下の容量のグラスでそのワインの持つパフォーマンスを100%引き出すのは、これまた無理な話です。

次に、グラスの形状(デザイン)と人間の味覚との関係からいうと、特にボウル部分のデザインとリム(口部)の直径やデザイン(チューリップ型か先細り型かなど)によって、ワインが口内に流れ込むワインの流量や、リムからの飛び出しの勢いで、舌のどの部分に、どれだけの量のワインが、どういう具合に触れそして喉元に流れていくか?で味わいのかなりな部分が左右されます。

わかりやすい例だと、口径のおおきなボウル(500cc〜)で先細り型のボルドー型といわれるグラスで酸味の強いフルーティーな、そしてキリッと冷やしてのむリースリングワインを飲むとしましょう。
まず口径の大きさや形状から推測してワインは、広い流量でそんなに勢いもなしにどちらかというとダラ〜という感じで舌の先端部分よりやや後ろ側から両サイドの酸味にもっとも敏感な部分に触れていく感じになります。ということは、極端にいうと酸っぱい(表現がきついのはすみません)ワインをわざわざ酸っぱいを感じる舌の部分にあてて飲んでいるようなものなのです。その上、ボウル部分が大きいためせっかく適温に冷やしてもすぐ生ぬるくなってしまいます。

逆に、ボウル部分は小ぶり(〜300cc)でリムのデザインがチューリップ型のグラスで、タンニンを多く含み豊かなアロマ、ブーケを醸し出すゴージャスなボルドーワインを楽しめるでしょうか?答えは100%、No !です。
まず、容量が小さすぎてそのワインが持つ最初のメッセージ(香り)が100%どころか半分も伝わりません。つぎにリムデザインがチューリップ型&口径が小さいため、ワインの流れは、細くかつ勢いよく口の中に飛び込んでいってしまい、舌の渋みを感じる部分、中心よりやや奥部にストレートに流れてしまい、わかりやすい言い方だと渋いワインを渋い部分で飲んでいる状態になり、後味も渋みの残記憶のみが強烈に脳味噌に刻み込まれてしまいます。

以上簡単な2例ですが、もしよければご家庭でも試して見て下さい。
もともと学生時代からビールが大好きでワインはほとんど飲んだ記憶がなかったこの私でさえ最初、このグラスのデザイン理論を体感したときのことは、強烈に覚えています。
実験される際は、中途半端に鼻先をグラスに寄せるのではなく、ぜひ思いっきり鼻をボウルに突っ込んで下さい。

グラスのデザインは、それこそ多種多彩です。まさにデザイン&裁断&縫製によって女性を最高に引き立てるオートクチュールのドレスのようです。 (前回のEpisode5で述べたようにグラスの主原料はたかが「砂」です!)
グラスデザインにも洋服と同じように流行が存在し、過去にはボウル部分とステム部分がくっきり分かれるちょっとごついデザインのグラスがよく売れた時期もあります。
ワイングラスの今のトレンド(この言い方も、もう死語かな?)は、昨今のワインブーム?のおかげか、シンプルでグラスそれ自体にカットなどの装飾が無く、ボウル部分からステム部分にかけて流れるようにスムースなデザインそして比較的大ぶりなグラスとでもいえるのかも知れません。

最後に、ではどうやってグラスを選べばいいの?にお答えしましょう!
(私見なので反論は勘弁してね)
まず重要なポイントに値段!があります。 20代、30代、40代そして50代と年輪を重ね、いろいろなワインを経験していくにつれてワインにかけられるお金?も変化していくのと同じで、グラスも最初は、2客ペア(1客じゃあまりにもサビシー!)で生地(素材、前回のEpisode5参照)もソーダでもセミクリスタルでもかまいません。でもできるだけ、デザインと大きさにはこだわったほうが、いいと思います。
最近は、定価で1000円台前半から1500円前後で容量500cc以上もあり、恋人やパートナーの誕生日やクリスマスなどたまに気合い入れて買うワインにも充分使える良質なワイングラスも増えてきています。(世界的なワインブームのおかげといえます)
それとは別に、いつもビール代わりに毎日安いデイリーワインをがぶがぶ飲む、もしくはみんなでワイワイ飲んで食べて騒いでLet's have a Party!なんて時には、あんまりうるさくグラスデザインについて考えるよりそれこそ、タンブラー(コップ型)でもOKじゃないかな?と思います。
飲むワインの価格があがるに連れてそれを楽しむための「通訳」であるワイングラスにかけるお金も上昇する傾向にあるようです。 私の意見では、値が張るグラスには、それだけの価値もそして意味もあると断言できます。
リーデルに代表される究極のデザインから来る「機能美」、フルレッドクリスタルの適度な重量感とグラスを合わせた時のキ〜ンという透明感あふれる響き、まさに神業のよう生地の薄さ、ワインには、不向きですが、バカラやサンルイなど超有名ブランドメーカーのみが、成し得る芸術的領域まで踏み込んだカットグラスの「装飾美」など、どれも高いお金と交換する価値は、充分にあると言えます。(非常に残念ながらここでいう値段とは、現地での価格の意であり、日本国内のそれではありません)

またまた長々と書いてしまいました。でもこのBuyer's EYEを読んで下さる読者の内1人でも、グラスの「能力」「魅力」に気付いていただければこんなにうれしいことは、ありません。これを書いている今は3月14日のホワイトデイ、もう春はすぐそこにきています。
新たな気持ちでワインを楽しむためにも、ワイングラスをもっと可愛がってみませんか?


 
  EPISODE 5 --- グラスについて Part 1 (00/2/15)
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今回のBuyersEYEは、過去4回のオタッキーなお話よりもっとみなさんに身近なお話をさせていただきたいと思います。(次回はわかりませんが・・・)

今回のテーマはグラスの材質です。これは私見ですが、数あるワインアクセサリーの中で最も重要度の高いワインアクセサリーは?と問われたら間違いなく私は「ワイングラス」と答えます。というわけで今回はその中でもグラスの材質と特性について、次のEPISODE 6ではグラスのデザインについて話していきたいと思います。


 ワイングラスとしての材質には、特殊なものを除いて(耐熱ガラス等)大きく分けて3種類があります。グラスの主原料ははっきりいって「砂」です。 原料からみて1番目は、いわゆるソーダガラスといわれるもので、大量生産の安い製品に多く使われる最も一般的な材質ともいえます。成分は、珪砂(珪酸)が70%〜75%、ソーダ灰(酸化ソーダ)約15%、それと石灰石(酸化カリシウム)を約5%ほど場合に応じて酸化マグネシウムを含む場合もあります。これらのソーダガラスは、業界用語で“並生地ナミキジ”と呼ばれ、先述したように汎用性、大量生産に適し、日常のあらゆる瓶類、板ガラス、食器、グラスに使われています。

 2番目によく聞くクリスタルガラスがあげられます。クリスタル=水晶をイメージするほど無色&透明度が高いためこの名がついているようです。一般的にクリスタルガラスといった場合は、日本では鉛(レッド)クリスタルを指すことが多いようです。ほかにもクリスタルには、カリクリスタルと呼ばれるものがありこれが、第3番目の材質です。

 順を追って説明すると、まず鉛クリスタルの中にも鉛含有率の順で
●フルレッドクリスタルガラス(鉛含有率30%以上)
●レッドクリスタル(鉛含有率24%以上)
●セミクリスタルガラス(鉛含有率10%以上)の3種に分けられます。
ほかの成分は、珪砂約50%〜55%、酸化カリウムが約13%〜17%含まれます。鉛クリスタルガラスの特色として、溶解度が低くなり光屈折率が増し光沢度、透明度とも特に優れるといえます。
 鉛を含んでいるため重量感もあり、「カンパ〜イ」をしたときの音色もキーンと澄んだ金属音がするのが特徴です。ほかの生地キジ(材質)より軟らかいためカットなどの後加工もしやすいため、よく高級食器やグラス、工芸品に使われます。
 有名なバカラなどのカットグラスの材質は鉛含有率30%以上の最高級鉛クリスタルを使用していますが、これはあの美しく繊細なカットを特色としているため生地自体の軟らかさが逆に必要だからともいえるのです。最近ではフルレッドクリスタルといわれるものでも鉛含有率が24%くらいの製品が多く(世界No.1ワイングラスといわれるリーデルなどの有名メーカーも)、先述した3種類の分け方より単純にフルレッド(鉛含有率24%以上)セミクリスタル(鉛含有率10%以上)の2種類で分ける方が一般的といえるかも知れません。

 最後に古くはチェコのボヘミア地方で主に生産され、最近ではドイツの有名グラスメーカー“ショットツヴィーゼル”に代表されるもう一つのクリスタルガラス「カリクリスタル=ボヘミアクリスタル」があります。このガラスは先述の鉛クリスタルの鉛の代わりに酸化カリウムの含有率を高めたもので、成分は、珪砂約70%〜75%、石灰石約5%、そして酸化カリウム約15%となります。このグラスは、特徴として“強く、軽い”といわれ光屈折率や透明度もソーダガラスと比較するとはるかに優れ、フルレッドの鉛クリスタルに次ぐ美しさです。耐薬品性にも優れるため食器やグラスのほか、化学用品や光学機器、模造宝石など幅広く使われる生地です。最近では、特にEC各国でエコロジー(自然環境保護)の観点から毒性(あくまでも鉛として体内に入った場合です!)のある鉛より木灰を精錬して産出していた酸化カリウムを使用するカリクリスタルガラスは、よりエコロジカルでかつ美しさと丈夫さを兼ね備えた材質として脚光を浴びています。世界中の有名チェーンホテルやエアーラインでの使用率がほかの材質に比べてかなりの高率なのもうなずけます。

 以上、ちょっと化学の実験用語風の聞き慣れない単語が多くでてきて、戸惑われた読者もおられると思います。ゴメンナサイ。最後にこれまた私見で申し訳ないのですが、ワイングラスとしての実用度だけを考えた場合、生地=材質よりも次のEPISODE 6で説明する予定のグラスのデザインの方が、おいしくワインを飲むためのアクセサリー、というより人間とワインを仲介する貴重な通訳としてはるかに重要といえます。EPISODE 6 に乞うご期待!


 
  EPISODE 4 --- ワイン保存用アクセサリー(ワインセーバー) (00/1/15)
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みなさん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
2000年1発目は、何にしようかと悩んだのですが、いまやワインアクセサリーの定番品ともいえるワイン保存器について話したいと思います。
この保存器、日本人の体質が欧米人に比較してアルコールに弱いこと、ワインは大好き!でも一人でフルボトルは、飲みきれない、でもハーフでは種類も少ない。
今日はフルボディコテコテの赤の気分だけど明日は、キリッと切れのいいシャルドネイが飲みたい!
いいワインを開けたいけど一人暮らしではあまってもったいない!なんて時にひとつあるとこれほど重宝するグッズもありません。

さて、このワインセーバー(保存器)と言えるものには、大別して3種類あります。

1つめは、ゴムのストッパーとプラステッィック樹脂でできた本体であるポンプを使い飲み残したワインボトル内の空気を吸い出し、まさに“宇宙”と同じ真空状態にしてしまう商品。このタイプには、ワインセーバーやワインポンプ、バキュヴァン、ワインストッパー、ワインフレッシュなどなどUSA、オランダ、台湾、ドイツなど、各国で商品名は違うものの同じ機能の商品が数種類、市場に出回っております。
ところが一見、同じものの使ってみるとやはり一長一短あり、ポンプと共に使用されるストッパー部分が“ミソ”で、単純にゴムに切れ目を入れただけのタイプは輪ゴムが劣化していくと伸びが甘くなりついには、切れてしまうのと同じく長期使用していると真空化したつもりが、しっかり空気漏れしていてせっかくのワインが酸化していた。なんてこともあるようです。
で改良されたストッパーとして中心部にプラステック製の弁を設け先述のゴム劣化による空気漏れを防いだ商品もしっかり存在します(USAエピキュリアン社のワインセーバー)。ゴムの切れ目だけの商品でもドイツ製のワインフレッシュのように高価な良質ゴム?を使っているストッパーには比較的ゴム劣化による空気漏れは、少ないようです。(残念ながら現在、日本国内でこのドイツ製を扱っているところはないようです)

次に、イギリスやナパ、ソノマなどUSAカリフォルニアで、主にレストランなどで使われている空気より窒素の質量が重いことを利用して、いわば見えない「気体の蓋ふた」?をして、ボトル内のワイン液面を空気から遮断し、酸化防止するワイン保存用アクセサリーもあります。
現在、日本で販売されているものは、以前のイギリス製よりも値段が手頃なカリフォルニア製のプライベートプリザーブ(※取扱いは終了致しました。)という商品が市場には出回っています。
やはりディスポーサブル(使い捨て)の感覚は倹約家の日本人にはなかなか受け入れられないのか、前述のワインセーバーに比べればまだまだマイナーな存在ですが、レストランやホテル、ワインバー、試飲会などなど大量のボトルワインを酸化防止しなければならないときは、ワインセーバーに比べれば作業が楽なこともあり(ノズルからスプレーのように注入するだけ!)主に、プロ向きの商品と言えるかもしれません。でも、欠点は、注入後ボトルを移動したり、液面を揺らすとせっかくの酸化防止効果も半減してしまうことです。

3つめは、あの世界最高級ワイングラスメーカーRIEDELリーデルが、発売しているワインセーバー用デキャンタです。これは、通常のデカンタ−容量が750ccから1300cc(シングルボトル用)なのに対し290ccから400ccと約半分の容量しかありません。
使い方は、非常に原始的&合理的?で開栓時にすぐこのデカンタ−の口部ぎりぎりまでワインを満たしてしまい、蓋をすることにより空気が入り込むスペース自体をなくしてしまい、そのまま置いておくというものです。これほど原始的ですが、失敗のない方法もないかもしれませんね。

 以上、現在存在する3つのワイン酸化防止器具をご紹介させていただきましたが、みなさんはどんな方法がもっともよいとお考えですか?
えっ、1本や2本飲みきるから私には必要ないって?そう、それが、ワインにとってもっともうれしい方法なのです。おいしいワインに乾杯!!


訂正
「空気より窒素の質量が重い」との記載につきまして、窒素は空気より軽いとのご指摘をお客様より頂きました。
メーカーに問い合わせを致しましたら窒素に対し炭酸ガスの成分を混ぜ合わせ質量を空気より重くしているとの答えを頂いておりますので、訂正させていただきます。(2000年9月5日)
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