EPISODE 12 --- 海外出張編その2 (00/9/26)
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今回は、前回に続いて世にもまれな?職業「ワインアクセサリー専門バイヤー」の海外出張番外編です。
前回は、訪問の中心地、ヨーロッパのハブ都市フランクフルトでのメッセ展示会での歩き方や時間の過ごし方について書いたのですが、今回は、一番の「苦労話」について書いて行きます。

まず最近、といっても3年前くらいですが、一番の苦労というか困ったのはもしかした読者の中でも同じ体験をされている方が多い?のではないかと思われる“海外接続”でしょう。
今なら、これだけインターネットが普及しているので、ビジネスでアメリカ人や日本人が泊まるような大きな一流ホテルなら室内にネット接続用の設備がありサービスの行き届いたところでは、専用のビジネスルームやホテルと契約している簡易プロヴァイダーまで紹介してくれ、かつ接続方法もレクチャーしてくれます。(ソウルで、このホテル契約プロヴァイダーのサービスを知ったのですがこれが簡単&安いでびっくり!!)
でもそんなにインフラが整備されたのは、ここ2年くらいのことで私が初めて海外接続にトライした3年前は海外接続に関する予備知識を得るには、PC関連の雑誌の記事や本に頼るしかなく今のようにネットサーフィンすれば各国の電話モジュラー形状を紹介してくれる超便利お役立ちサイトがでてくるなんて夢のまた夢?でした。(私が知らなかっただけ?かな)
そんな状況の中、私が用意したのは、
【1】 国ごとに違う形状のモジュラー形状(日本はUSと共通)を調べて用意
【2】 電流の流れる方向を調べるモデムセーバー
(これはもし方向が逆性の場合、正の方向に変流できるタイプが便利)
【3】 もし作業しやすい場所が、電話から遠い場合にそなえて巻き取り式の携帯用電話線延長コード
【4】 普段使うコードとの接続アダプター(だから両方メス型)
【5】 ヨーロッパは、電圧が日本の100Vに対し220V〜250Vあるため変圧器
(今のパソコンのAC電源は、ほとんど250V対応ですが、そこから電源までのコードは、ノーマルの日本仕様なのでそのままでも使えるらしい?が、万が一愛機のレッツノートが壊れては大変と購入。 それにひげ剃り機の充電なんかにも使えます。でもこの変圧器、結構重くて小型の軽いタイプはなかなかない!)
【6】 海外旅行の必需品各国の電源タップアダプター
【7】 海外対応PCカードモデム
(やっぱりTDKでしょ?一度このカードで使うドライバーソフトがアップデートしたときPCカード本体の書き換えに、なんと出発までの4日以内で対応していただき大感謝!したことがあります。
それとわざわざ海外用モデムを買わなくても内蔵モデムではいけないの?という素朴な疑問ですが、これは、ほめられないけどいままでの経験(イタリア、ドイツ、フランス)ではレッツノート&サブ機ジョルナダ690の内蔵モデムでも使えますが、やはり電源ACコードと同じく万が一ということがあります。
愛機が大事ならきちんと海外対応したモデムを使うべきだと考えます)
あっ、それとこれは今では使わないかな?の音響カップラー(もし購入したモジュラーアダプターが、室内のモジュラー口形状と合わない場合用 --- ドイツなんかいまだに3種類もの形状がある! --- に電話受話口に直接シグナルを送るための古典的ツール?つかったことのあるという方は、私と同じく海外でかなり苦労されたのでは?(笑))
以上が私が購入した海外接続用ツールです。
これにパソコン本体とフロッピーディスクドライブが加わるのですから結構な重量です。
最初にトライしたのは、前回のバイヤーズアイでご紹介したフランクフルトでの私の常宿ホテル「クリスタル」でした。このホテル学生が、卒業旅行なんかでバイブルのように持っている地球の歩き方にも紹介されているように豪華な一流ホテルではなくBB(Bed&Break fast)とはいわないまでも普通の(日本のじゃないよ)ビジネスホテルです。
部屋は極めてシンプルです。最初に変圧器経由で愛機の電源ON。もちろんネット接続用の設備などなく、常設の電話回線からモジュラーをやさしく?引き抜いてモデムセーバーでチェック(なんと逆性!モデムセーバー持参で正解)いつもの内蔵モデムではなく海外用PCカードモデムからのコードを電話口に接続!緊張の瞬間。でもなんどトライしてもだめ。細かい設定を何度も見直ても、自分の当時の知識では何度、見直してもわからず時間は経つばかり。
眼も疲れてきた5時間後、今では頻繁にみる海外接続マニュアル本には必ず書いてあることに気付いたのです。それは外線発信番号の0ゼロだけど設定に入力するのだけでなくそのあとにカンマ「,」を数個入力することなのです。でもなんでそれに気付いたんだろう?いまだに「謎」です。きっとなにかの雑誌で、以前読んでいたのを覚えていたのかもしれません。というわけで私の海外初接続は苦労の末なんとか成功!しました。
今から3年前の冬でした。

でもこれだけで海外接続をマスターなんてとんでもない!ドイツのデュッセルドルフではまず使うことがないかな?と思いつつも心配性ゆえ持参していた古典的「音響カップラー」をつかって2400bpsの超スロースピードしかも10数回トライして1回繋がるか否か。
イタリアでは、頼りの海外接続PCカードが使えなかったり(これはあとでそのカード自体が、私が当然サポートされているだろうと勝手に思いこんでいた“先進国”イタリアをサポートしていなかった!ことが帰国後判明。そのあとソフトでそのカードはイタリアもサポート内に。その時は、壊れるの覚悟で内蔵モデムでトライしたらあっけなく成功。)
オーストリア(オーストラリアじゃないよ)のメーカーが用意してくれたリゾートホテルでは、フロントであっさり自分では持参していなかったモジュラーアダプターを貸してくれたのに30回トライして1回の割合しかつながらず、そんなときに限り大事なファイル送信が必要で泣きたくなるほど、繰り返し接続にチャレンジし続けたこと。(これは、地元メーカーの人に訊くと電話回線の品質が悪いためで、そこから数十キロのメーカー事務所からは同じ設定であっさり成功)などなど、いや〜海外接続には奥深いものがある?と思います。
いままで、運がいいのか先進国からだけ(フランス、オーストリア、ドイツ、イタリア、スペイン、韓国、香港)だからか、完全に接続に失敗した経験はありません。
ほんとうにラッキーです!
でもこの海外接続というか、インターネットのおかげでいままでなら帰国したらほんとうに“山”のような仕事がたまりまくっていたのがある程度は、向こうにいる空き時間に処理できること、それに滞在先にいながら世界中のメールを読めるので急なアポイントで現地のサプライヤーと初面談できたり、私にとってはまさに「魔法の杖」です。
みなさんも海外へ出かける際には、ぜひ一度チャレンジしてみてくださいね!
旅先から画像付メールなんてほんのちょっと前には信じられないことだったんですから。
結構興奮しますよ!


 
  EPISODE 11 --- 海外出張編その1 (00/8/21)
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今回&次回は、商品のお話はいったん休憩してちょうど来週半ばから行く予定のドイツ出張もからめて世にもまれな職業である?ワインアクセサリーバイヤー(こんなのほかにやっている人いるのかな?)の私が海外でいったいどんなふうに行動するのか?どんなとこに泊まり、どういう風に生活しているのか?について書いていきたいと思います。

商品の話ばっかりじゃ、せっかくこんなマニアックなコラムを毎回読んでくれている 奇特な読者のみなさんに、そろそろあきられちゃうかな?と思いまして。
じつは、いつも書きながら、こんなにマニアック&おたくみたいなこと書きまくって 誰か読んでくれるのかいな?と少々不安なのです(笑)

毎年、WAC買付担当である私は、年に数回、主にヨーロッパへ、なにかいいものはないか?一攫千金の大ヒット商品の卵はないか?(笑)な〜んて考えながら機上の人となるのですが、これを聞くとたいがいの友人&取引先の方々は、仕事とはいいねぇとうらやましそうにおっしゃって下さいます。が、実際正直なところ、この海外出張、私にとり楽しいという感覚は全く“ゼロ”です。

特に必ず訪問するドイツはフランクフルトで開催される2月のAmbienteアンビエンテ 、8月のTendednceテンデンスでは壮大なスケールの展示会場をまさに歩きまくらねばなりません。(同業者が万歩計で計ったら彼は毎日約20km歩くと申しておりました)

このフランクフルトメッセの広さは、まさに世界一?にふさわしく会期1週間かけて 歩きまくり、しゃべりまくりしても全会場は回りきれないくらいです。

総展示面積290,000平方メートル(坪でいうと9,425坪)、出展社数4,671社(80ヶ国1999年実績)、訪問者数98,114人(139ヶ国1999年実績)が今回行くTendenceの数字ですが、このTendenceは、どちらかというと年末のクリスマス商戦用商材を見つける展示会とされ、2月のAmbienteの方が各国のメーカーの一年間の総発表会?のごとく、よりたくさんの新商品が展示されるため、スケールは一回り大きくなるようです。
会場は、1ホールから10ホールまでに別れ、その一つ一つのホールが日本の展示会場ひとつ分?くらいあります。
いや、デカイ!はじめて訪れた時にはあまりの大きさに唖然としていたのを思い出し ます。

ではこのフランクフルトメッセでだれが、なにを展示しているのか?

まず

リーデルバカララリックヘンケルに代表される世界一級品のグラスウエアやテーブルウエア
これらお金のある超ブランドメーカーは10号館上階に会期とは関係ない常設展示(ようするに年中借りっぱなし)に位置しており、ほかの会期中のみ展示する中小メーカーの陣取る他のホールとはまるで別世界のゴージャス、きらびやかな雰囲気につつまれており、ブースを訪れたお客にはシャンパンがふるまわれたり、個別のVIP用商談スペースに案内されたりと、いたれりつくせりです。(いつもじゃないけど)でももちろんその分、ビジネスは巨大でシビア&ハードまさに紳士淑女の仮面をかぶった格闘技?(あっすんません、K1グランプリ見ながら原稿打ってたらこんな表現になってしまった)の様相です。
10号館以外には、まさに世界中から集まったメーカーや問屋がところ狭しと集まっています。1mくらいの間口のブースがひしめきあっている台湾や中国などアジア各国のスペース、各国の民族衣装が楽しいアフリカからの民芸品を展示しているブースなどなど、なんとか自分の商品を売り込もうと意欲まんまんの人々が個性豊かにひしめいています。

展示品は、それこそゆりかごから墓場までとはちょっと大袈裟?ですが、包丁から時計、額縁、ゲームや玩具、香水から照明、家具類までと雑貨のみならずなんでもあります。
でも私が過去に行ったことのある日本の展示会や香港、それに広州(中国本土)の展示会などアジアの国で開催される展示会と比較してディスプレイもあか抜けていて、通路&ブースのスペースもゆったりしています。

初めて訪れた時は、一体全体どうまわればいいのか?わからず、ただ闇雲に歩きまくったのですが、さすがに何度も訪れているうち“コツ”をおぼえた私は、自分のフィールドに近いカットラリー(刃物やキッチンウエア)関連が集まる8号館をまず速歩なみ?のスピードで1日歩きまくります。その間新製品をだれよりも早く見つけようと(このときの心境はまさに獲物をねらうハンター?)眼を光らせまくるのはいうまでもありません。

それと同時に、いま取り引きさせていただいているメーカーのブースに挨拶&新商品の紹介を受けに訪れます。これがとても重要なことなのです。
彼らのホームタウンまでそれぞれ行くには、それこそヨーロッパ中かけずりまわらねばならないので時間はかかるしコストも大変です。
メッセで会えればそれこそ一挙両得なのです。
でも年に2度か3度しか会えないということはそれだけ彼らと話す時間は、当然かなり濃密になります。
日本の経済状況からマーケットの情報、日本のマーケットに合った新製品のプレゼンの仕方などなど、なかなか話は尽きず、あっというまに時間は過ぎていきます。

その間、ランチタイムでも挟もうなら、シャトーラギオールの生産メーカーSCIP社のサナジェスト社長&輸出担当キャサリンさんのブースなんかにはそこかしこからまるでわいてくるようにフランス人の出展者があつまり、ワイン&チーズ&ハム&パンでおしゃべりが始まります。
そんなこんなしていると、あっというまに一日が過ぎてしまい、ほかのブースを回れなくなることもしばしばです。が、そこはなんとか5日間の会期中フルに使って帳尻を合わせます。

夜は夜で、メーカーとの会食が、あれば出かけまたそこでジョークを交えたビジネストーキング?もし予定が、なければないでいつものホテルで愛機レッツノート(Lets Note)で日本にいるときと変わらず深夜までパコパコ仕事してます。

私の常宿のホテルは、フランクフルト中央駅すぐ横の滝さんという日本人の紳士が受け付けにおられるクリスタルというビジネスホテルです。
このホテルとくに団体ツアーでくる日本人のバイヤーが、よく泊まるバカ高いインターコンチネンタル(メッセ開催中は市内のホテルはすべて2倍から3倍になるのでさらに高い!)とは違い、ひたすら質素&シンプルなれど、メッセ会場に歩いて10分の近さ、滝さんの日本語(そりゃあ一日、英語でしゃべくりまくるとドッと疲れるのでー笑)と必要な時にのみ助けてくれる、滝さんのさりげないけれど気の利いたサービス、朝のおいしいコーヒーがすばらしくいつもお世話になっています。
このクリスタル、商社マンの親父さんが、娘が卒業旅行でヨーロッパのハブなるフランクフルトにまず着くので滝さんによろしく!とTELがくるほど旅慣れた日本人にはファンの方が多いようです。

あっそうそうこのホテルの部屋からインターネット接続可能なのも見逃せないポイントかな。(最初の一回目は海外接続の知識もなく苦労したけれど)いまの私の仕事には、インターネットに接続できないと仕事にならない?とくにE-mailが使えないと困る!のです。
海外接続の体験談は次回にしますが、もうそれは聞くも涙、語るも涙とはいいませんが、結構苦労してます。これは、たぶん私が田舎のしかもあんまり高級でないBBやホテルばかり泊まるせいかな?外国人向けのそこそこのホテルなら今のご時世、どこもネット接続用のサービスは完備されていると思うので。

今回は、またまた長くなるのでこのへんで終わりにします。続きは、滝さんとこで書こうっと。ではサイナラ、サイナラ、サイナラ(なんか淀川さん風ー古い?これがわかる人は、私と同世代以上ですー笑)
中村店長今回は、挿絵がなくて楽でしょう?


 
  EPISODE 10 --- 悔いのないソムリエナイフ選び (00/7/14)
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今回のBuyersEYEは、どこかで聞いたことのある表題にもあるように、今夏のワインアドバイザー&ソムリエ講習会に合わせてワインのプロ必需品「ソムリエナイフ」の選び方です。

実は、ソムリエナイフという呼称は和製英語じゃないかというご質問をお客さまから最近いただきました。私もこれは和製英語だと思います。
では、海外ではなんと呼ばれているか、主にウエイターズナイフWaiter's knifeもしくはBarman's knifeバーマンズナイフと北米では呼ばれているようです。
EC諸国では、フランス語からティルブッションTire-Bouchonと呼ばれることも多い ようです。私がヨーロッパの見本市なんかで商談するときは、ウエイターズナイフ と言う方がもっとも意味が通じやすいように感じます。まあ向こうの人は、ソムリエ ナイフやコルク抜き、刃物専門のメーカーなので話の流れでこっちのいうことを理解 してくれているのかも知れません。ちなみにスクリュー部分の英語は、SpiralスパイラルかWormワーム、単にScrewスクリューともいいます。


 昔(といってもほんの20数年前)は、日本でのソムリエナイフといえば、ドイツは刃物で世界的に有名なゾーリンゲンの超有名会社ヘンケルス社のものか、それとも本家のヘンケルスを手本に(ようは、当時のほかの工業製品と同じくコピーですな)製造された和製ソムリエナイフしかありませんでした。両品ともデザインはごつくて、無骨な金属質オンリーのまさに「道具」然としております。

 材質は、一般にはボディ、コルクスクリュー、ナイフ、フックとも鉄材か、高級品にはステンレス材が使われていました。
そのほかのソムリエナイフといえば、イタリア製のボディ部分のみプラスティック製の比較的安価でカラフルな商品が栓抜き兼用としてこれはプロというよりホームユースをターゲットに現在まで売られています。

 ところが、このドイツ製中心の「道具」的考え方の無骨なナイフとはまったく別のセンス(感覚)をもつブランド?ソムリエナイフが1978年誕生、あっというまに世界中で有名になっていきました。それがフランスの刃物生産No.1の町、ティエールにあるSCIP社(スキップ)の「シャトーラギオール」です。
今回は長くなるのでシャトーラギオール物語に関しては、またの機会にお話しますが、このシャトーラギオール、3年に1回開かれる世界No.1ソムリエ選手権の優勝者(1995年の日本人田崎真也氏、1998年のドイツ人Markus Del Nonego氏ら)が、デザインはそのままでボディ部分の材質をかえることで優勝の証として自らのオリジナルモデルを創ることでも有名です。

◆ちょっとブレイク◆
 田崎氏モデルはボディ部分を日本の日の丸をイメージし、レッドスタミナウッドと白いシェル部分の2色からなり、フック部分にTASAKIの文字が打ち込まれています。
ケースもオリジナルとして、やはり赤と白を基調に縦型のフラップボタン、ロットNo打ち込み、ベルトループ付ケースを採用しています。
マルクス氏のモデルは、ボディ部分をサテン仕上げ(艶消し)、本格的プロ用に剛性を高めたプロフェッショナルモデル「グランクリュ」シリーズのハンドル部分に出身地ドイツの葡萄古木を使用しています。田崎氏モデルと同じく、オリジナルケース、ネーム刻印、ロットナンバーが打ち込まれております。

 さてシャトーラギオール(よくライヨールとか単にラギオールと言われる方がおられるのですが、それらは単に地名なので、正式に商標登録されている名前は「シャトーラギオール」です。)の派手な登場で、ソムリエナイフの世界にも大きな変化が訪れました。

 いままでのドイツタイプよりハンドル部分に水牛の角やらオリーブやメープル、樫の木などを使ったり、着色したウッドなどを張り付けることによってたっぷり厚みがあり、カラーをも楽しむ要素が加味されてきました。

 厚みがあるということは、毎日数十本開栓しなければならないプロ(細身のボディだと最後は痛くなってきますよね)はもちろん、特に非力な女性の方などには、大きな恩恵をもたらせます。厚みのある分、中指、薬指、小指にかかる負担が軽くなり、楽にコルクを引き上げることができるようになるのです。

 弊社の売れ筋ソムリエナイフだとシャトーラギオール、同じくSCIP社のラギオールドファン、てこの原理がきく弓形デザインのクレッセント、世界で唯一ダブルフック式採用のスペイン製プルタップスのギフトモデルやライトモデルなどが厚みが充分にあるソムリエナイフの代表格です。

 比較的、軽視されがちですが、色カラーも私は大変重要だと思います。やっぱり無機質のなんの変哲もないナイフより、材質にしろ、単なるペインティングにしろ、自分の好みに合ったナイフほうが愛着がわくのは当然です。毎日お客様の前で、コルク抜栓する演出を見せねばならない“ソムリエ”を職業とする方はブラックを基調にした制服を着用されることが多く、比較的暗めの照明の中での作業になるので、色カラーもいわゆる“光りもの”系、ゴールドやシルバー(クロームメッキ)のカラーを選ばれた方が、演出をはるかにゴージャスに見せることができます。

 次に、フック部分に革命的なダブルフックを採用したのが、さっきも“厚み”の部分でご紹介したスペインのプルタップスPulltap'sです。このダブルフック式ソムリエナイフ一見な〜んだと思われるくらい見た目は、単純な変化なんですが、すでに自分のマイ・ソムリエナイフをお持ちの方が、初めてこのダブルフック式のプルタップスを使うとそれこそ“目からうろこ”状態となります。

 特にボルドー等グランクリュクラスに使われるような、なが〜いコルク(55mm超)には抜群の威力を発揮します。いや、本当に簡単に開いてしまうんですよ。
このプルタップスには、ボディがオール金属製でほかのパーツにステンレスを使用したクラッシックという高級モデルとボディにスティール(鉄材)とプラスティック、ほかのパーツもスティールを使用したベーシックモデルがあります。
この特にベーシックモデルは、メーカーのお膝元スペインのトーレス社をはじめそれこそ南極大陸を除く、ワインを生産している4大陸すべてに凄い勢いでここ何年かで広がっています。このダブルフック式60才をとうに過ぎているプッチさんという商売っけのまるでない発明家のおじさん(このおじさん本当にコルク抜きが大好きなようでWACでも扱っているソムリエナイフの変わり種ギヤ式?のユーロプルを発明した人でもあります)が生み出したモノなのです。
20年間有効の特許権によりPulltex社しか販売できないのにも関わらず、すでににせモノができているという情報もあります。まあそれほど、すごい発明だということだと思います。

 もうひとつ、特にフランスで修行されてきた方に人気で、決して派手さはないけれど実力十分というすばらしいメーカーが、先述したフランスティエールにあるDELUCデュルック社です。
従業員数人という小さなファミリーメーカーにも関わらずフランス全土で売られています。
たぶんSCIPスキップ社が、シャトーラギオールを創り出すまでは、フランスの高級ソムリエナイフ市場(そんな市場あるかいな?)を独占していたのでは、と思われます。
一見、ドイツ製ソムリエナイフのように“おもろない”デザインに見えるのですが、よく見るとやや細身のボディデザインといい、スクリューの裏側の丸バネをわざと少しボディ部分よりはみ出させて、指への負担を軽減してあったりと、とにかく長い歴史で培われたアイデアがいっぱい詰まっています。
そもそもパーツひとつひとつの品質(クオリティ)が非常にすぐれている上、各パーツの取り付けバランスがすばらしいことからくる、コルク引き上げ率(こんな言葉あるんかいな?)ようするに一発で、どのくらいコルクを引っ張り上げられるか?なのですが、これがまたすばらしい。たぶんこのコルク引き上げ率という点では、ダブルフックのプルタップス方式をのぞく(これはフックの掛け替えにより、長いコルクに対応しているのでまったく別物とおもったほうがいい?)とSCIPスキップ社の新作、DAUPHINドファンと双璧ではないかと思われます。

いや〜またまたなが〜い文章になってしまった。中村店長ごめんなさい。
(Buyer'sEYE補足説明イラストは店長みずから描いてくれている手前いつも長すぎる!と怒られてます)それでは、長くなるついでに、タイプ別ソムリエナイフ選びを独断と偏見で書くと、

 
まず最初だから高いのはいらないわ、でも品質がいいのがほしいという初心者の方、もしくは、ソムリナイフは消耗品なくしてもこわれてもとにかく使い倒すという方
SCIP社の普及版ラギオールPC(左利き用有り)プルタップスライト(ベーシック)
 
人を驚かしたい、もう平凡なソムリエナイフは全部使ったので、変わり種がほしいという遊び心のある方
ギア式ソムリエナイフのユーロプルはいかがでしょう?
(※取扱いは終了致しました。)
 
ワイン大好き!少し予算もあるからいいのがほしいと言う一般の方およびプロの方でベストのコストパフォーマンスを求める方
プルタップスプロフェッショナルドゥルック社のステンレス系SCIP社の意欲的新作ソムリエナイフDAUPHINドファン(フランス語のイルカの意:個人的には一番気に入っています。理由は、海好きには堪えられないジャンピングイルカ風デザインもさることながら、引き上げ率、適度な厚み、ハンドル部分後部の一番力が、かかるところの丸い負担のかからない形状、アルミの軽い素材と、とにかくいいとこ一杯、価格も円高還元でいっきに下がったし・・・)
 
プロじゃないけれど一般のワイン好きで、予算たっぷりなが〜く使えてとにかくはったりが効くのがほしいという方
シャトーラギオールの一般モデルドゥルックのシルバーモデル(このシルバーモデルは銀コートのでも特に厚い33ミクロン銀コートを施してあります。その証の刻印まで打ってある!)
 
余談ですが、1日に何本も開け続けるプロソムリエさんにはシャトーラギオールのノーマルモデル(オールステンレスモデルを除く)はあまりおすすめしません。
いかに世界的ブランドソムリエナイフ、シャトーラギオールといえど“永遠”というわけにはいかないからです。
同じ回転方向に、毎日数十本、開栓を繰り返すとどうしてもスクリュー部分がはずれたりすることがないとは限りません、1本1万円以上の高級品でそんなことが起こると、もちろん悲しいですよね。シャトーラギオールといえど金属パーツの集合体ですので、プロが使うとなるとやはり消耗品になってしまうということです。
でも、そういうプロの方でいやどうしてもおれは、シャトーラギオールじゃなきゃいや!という方には、オールステンレスモデルか、グランクリュモデルをおすすめします。
耐久度は、ノーマルのモデルに比べて格段に向上しています。さもなくば大切なVIPさまなので最高のパフォーマンスを見せなければというここ一番にシャトーラギオール、通常は、違うナイフを使うとうふうに使い分けるのも一つの手かなと思います)
 
おれは頂上を極める!一番じゃなきゃいや!とにかく最高のソムリエナイフをという方
やっぱりシャトーラギオールのグランクリュシリーズおよびシルバーモデルしかないでしょう!
 
以上、最後まで読破して下さった方ほんとうにありがとうございます。

でもなんだかんだ書いても、本当は実際に使ってみるのが、ベスト・マイ・ソムリエナイフを見つける最上の方法ですよ。でももし自分に最適のナイフが見つかったらいままでの何倍、何十倍もワインを開けるのが楽しくなること保証します。がんばって見つけてね!

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