|
「グラスを変えるとワインが変わる」
同じワインを異なる形状のグラスで飲み比べてみると、香りや味わいの印象が変わる・・・そんな体験ができる「リーデル・ワイン・ブティック」東京・青山店が2009年4月1日に、リニューアルオープンしました。
そのオープン記念に来日した、11代目当主「マキシミアン・リーデル」氏によるグラステイスティング会が、前日の3月31日にカナダ大使館の地下1階にあるシティ・クラブ・オブ・東京で行われた。
リーデルといえば、何といっても「ワイングラス」が有名だが、今回は日本初?のスピリッツ(テキーラ、コニャック、シングル・モルト・ウイスキー)テイスティング!
ワイン同様に、スピリッツもグラスの形状で香りや味わいの印象が異なるのか・・・実際に体験した内容をレポート致します。 |
|
|
【グラスはデザイナーが作る訳ではない】 |
|
リーデルのグラスは「アロマの際立つグラス」を意識して開発しており、その形状はデザイナーの想像で制作するのではなく、醸造所関係者やプロのテイスターと共に、さまざまなグラスで実際に飲み比べ、アロマや味わいを最も引き出すグラスを見いだす「ワークショップ」により、グラスを決定しています。
|
なので、リーデルが用意したグラスよりも、その土地に古くから伝わるグラスが選ばれる場合もあるのです。
逆に、今まで常識と思われていたグラスが、飲み物の風味を充分に引き出せていなかったり、悪くする場合もあるのです。
今回、「ブランデーといったら、あのグラス」という常識が、驚くほど一転しますので、スピリッツがお好きな皆さまは、是非ご参照くださいませ! |
|
|
|
【グラステイスティング開始】 |
|
今回、マキシミリアン氏がチョイスしたスピリッツは以下の3種類。 |
左 |
【コニャック】(アルコール度数:40度)
ヘネシーV.S.O.P フィーヌ シャンパーニュ(Hennessy VSOP Fine Champagne Cognac) |
中 |
【シングル・モルト・ウイスキー】(アルコール度数:45.8度)
タリスカー 10年(Talisker Age10) |
右 |
【テキーラ】(アルコール度数:40度)
パトロン アネホ(アニェホ)(Patron Anejo Tequila 100% de Agave) |
|
|
|
|
|
|
用意されたグラスは
●コニャック用【6416/71】
●モルト・ウイスキー用【6416/80】
●テキーラ用【6408/18】
そして、ブランデーグラスでお馴染みの
○ブランデー・スニフタ【6416/18】
あとは試飲プラスチック製カップ(日本酒の御猪口をイメージしてください)の計5種類です。
|
|
|
|
|
|
|
6416/71 コニャック用 |
6416/80 モルトウイスキー用 |
6408/18 テキーラ用 |
6416/18 一般的なブランデー |
プラカップ 御猪口をイメージ |
|
【テキーラ】を、さまざまなグラスで飲み比べる |
テキーラはメキシコでよく飲まれているお酒で、スパイシーな料理の食中酒として愛飲されています。
原料はパイナップルに似た「アガベ」、絞り汁を発酵させ、蒸留器でアルコール度数を高めています。 |
【テキーラ】 (度数:40度) パトロン アネホ (アニェホ) |
|
|
ヴィノム・コニャック「6416/71」グラス
[アロマ] |
蓋をしたようにアロマがぼけ、フルーティー感はない |
[飲む] |
アルコールが口内一杯に広がり、舌がしびれる感じ。後味に苦さが残り、喉が乾く |
|
|
|
ヴィノム・モルトウイスキー「6416/80」グラス
[アロマ] |
テキーラの力強さを感じない |
[飲む] |
水っぽく、かなり後になってからキツいアルコールを感じる |
|
|
|
ヴィノム・ブランデースニフタ「6416/18」グラス
[アロマ] |
ツンと鼻を突くアルコール香 |
[飲む] |
アロマも余韻もなく、塩気と酸味ばかりが強調 |
|
|
|
試飲用プラスチックカップ
[アロマ] |
アロマ、アルコールも感じない |
[飲む] |
クリアで飲みやすいが、味がない |
|
|
【コニャック(ブランデー)】を、さまざまなグラスで飲み比べる |
コニャックは歴史的に一番古い酒で、シャンパーニュ地方隣り「コニャック地方」のブドウから
作られる、酒精強化のブランデー。 |
【コニャック】 (度数:40度) ヘネシーV.S.O.P フィーヌ シャンパーニュ |
|
オヴァチュア・テキーラ「6408/18」グラス
[アロマ] |
燃えるようなアルコールと、塩気を感じる |
[飲む] |
口当たりはアルコールの強い刺激、シルキー感は全くない |
|
|
|
|
ヴィノム・モルトウイスキー「6416/80」グラス
[アロマ] |
フルーティさは全く感じられない |
[飲む] |
酸味とタンニン(苦味)が口内に残り、舌がしびれる感じ。アロマや、シルキー感はない |
|
|
|
ヴィノム・ブランデースニフタ「6416/18」グラス
[アロマ] |
鼻が焼けるようなアルコール香 |
[飲む] |
まさに「男の飲み物」をイメージさせるインパクトを感じる。後味はオーク、バニラを感じるが、フルーティー感はない |
|
|
|
試飲用プラスチックカップ
[アロマ] |
アロマ、アルコールも感じない |
[飲む] |
水っぽく、味がない |
|
|
|
|
|
【モルト・ウイスキー】を、さまざまなグラスで飲み比べる |
大麦麦芽(穀物)を原料としているため、日本酒に近い飲み物。
ウイスキー本来の風味を楽しむなら、水割りよりもストレートがオススメ! |
【モルトウイスキー】 (度数:45.8度) タリスカー 10年 |
|
オヴァチュア・テキーラ「6408/18」グラス
[アロマ] |
塩気とアルコールを感じる |
[飲む] |
甘味を感じるが、舌に目隠しされた感じでウイスキー本来の苦味はない。後味は焼けた感じで、苦いビールのよう |
|
|
|
ヴィノム・コニャック「6416/71」グラス
[アロマ] |
アルコールの強さが目立つ |
[飲む] |
口中がアルコールで焼けるような感じ、苦味も強い |
|
|
|
|
ヴィノム・ブランデースニフタ「6416/18」グラス
[アロマ] |
思わず顔を背けたくなるほどの強いアルコール香と、ほのかな甘味を感じる |
[飲む] |
アルコールは極めて強く、苦味と熱感がある |
|
|
|
試飲用プラスチックカップ
[アロマ] |
アロマ、アルコールも感じない |
[飲む] |
ガソリンのようなアルコール感→苦味→酸味の順になる |
|
|
|
|
昔から使われてきた伝統ある形状のグラスでも、誤ったメッセージを伝えている場合がある。その過ちを正すために、時として伝統を打ち破らなければならない時がある。
以上のように、若干30歳代の若いマキシミリアン・リーデル氏は古い考え方に反抗するような言葉を残し、テイスティング会は終了したのでした。(かなり酔っぱらいましたが・・・)
一般的に「スピリッツ」は、アルコールが強く、フルーティーな風味が楽しめない飲み物だと思われがちですが、適したグラスで飲むとアルコールが調和されて、飲み物本来の味が楽しめるようになります。
好みはあるかと思いますが、皆さまも是非お試しください。 |
|